特注ナラ文箱の加工・・・桐箱作製とオイル開始

前々回「特注ナラ文箱の加工」記事の続きです

ひと月半ほど前に、ご注文いただいた指物紛いの
「和ナラ材の文箱」、外箱は考えていた通りに木地完成し
今日は、内部に収める「桐材トレー」の製作



自分が生を受けた時には宅にあった
古い桐たんすを解体した際に板材で取っていた材を使用
先達て紹介した通り、既に幅接ぎは完了



アラレで組もうか、片胴付きで組もうか迷ったが
上下に抜き差しすることを考慮に片胴付きで側板加工
取っ手部分も、一緒に組込み



底板は指物らしく、べた底で側板にプレス
接着の精度は出ているんで、指物で使用する木釘は不要



外箱への削り合わせは、もちろん手鉋
箱に入れた際、ゆっくりエアが抜けて自走するよう削り合わせ



さてと、やっと待ちに待ったオイルにかかれる
暑からず寒からずで、オイルにはいい時節だけど・・・



ここから赤ちゃん肌までが結構長いんだ～

「暫しのお時間を頂戴します」

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工房に新入り－３３・・・バストーニュウォールナット

昨年震災後、特注品をご依頼いただいたお方より
嬉しい便りを頂いた・・・

「・・・『バストゥーンウォルナット』と言う材を
　美しい縮杢に惹かれて衝動買いをしてしまいましたが
　数枚購入し、大きさと置き場所で持て余しておりますので
　１枚、引き取っていただけませんか？・・・」



数日後届いたのが、一人で運ぶには難儀な大きさと重さの材
屋上への３０段ほどの階段はとても一人では上げられず
人の手を借りて、やっと工房内へ持込。。。



心ときめき開梱をしてみると、完全に生木の香り
バンドソーで荒れた杢目より、先に目に飛び込んだのは
50mmはあろうかと言う、厚い樹皮



ちょっと穿って見れば、クラロウォルナット同様
泥分も多分に含んでいるようなので、早速に樹皮剥がし
90Ｌのゴミ袋半分ほども剥いで、工房内は泥だらけ



揚句に樹皮の中には、白い楕円上の虫の卵らしき物多数
以前に自ら伐採したソメイヨシノさんの製材時に
こちらはご存命の虫さんたちに、苦労したことがあるんで
事が大きくならぬよう、材さんには熱い思いをさせてしまうが
念のため剥がした樹皮跡をバーナーで念入りに炙り



一皮むけて、風呂に入ったように清潔になった材さんを凝視
ナット色の芯材部は、半分も入っていないけど
めずらしく、白太の部分にも縮みが一杯入ってる＾＾



但し、、、含水率は表層で３０％もあるし
暫しは「冬眠」ならぬ「数年眠」していただきましょう

・・・待てよ、樹皮も綺麗に剥がしたし
ひょっとしたら、割れが入ってくるかもしれないなぁ
このまま大判で使うことはないだろうし
割れだらけになってしまい、価値を落とさないように
製材しておこうかな？？？

暫くは、楽しく悩ませていただきましょう
「貴重な材さんをいただき、本当にありがとうございました」


追伸・・・ 米国サイトで自分で調べたところでは、、、 どうも「バストーニュウォルナット」が正式名で 第二次世界大戦中の、ベルギーのバストーニュの戦いが語源らしい 要は、“連合軍⇔ドイツ軍”が入り乱れた様子を比喩し 杢目が揉めている風体を表しているようだ

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特注品２品の加工・・・ＳＷ靴べら粗成形とナラ文箱組込

粗取りから一か月の養生期間を終えた特注品の２材
同時進行で、加工の開始

まずはスネークウッド様の靴べらの機械加工
大事なのは、靴べら型にした際の「目通り」の見極め


超高級材である以上、蛇紋の見映えを優先したいところだが
靴べらと言う、材達にとっては、非常にタイトな実用品のため
何より「安全性」第一で、４方向に勾配を付け裁断


長手の特注品は、先端部に内Ｒをとっても
ご覧のようなチャーミングな蛇紋創出で、、、ほっ


続いて、当初厚めに挽いたナラ材を、一週間ほど前に
仕上寸に近い分で研削、反りや捻じれを確認して最終の分決め


追い柾材で、広幅材にしては両逆目が少なく
ひゅるひゅるっと、手鉋の引き心地も申し分ない＾＾


老眼鏡を掛け、目を細め、0.1mmまで定規の目盛を読んで
５枚組のアラレ加工、組込治具の用意


矩番（直角）、捻じれに注意して
端金＆Ｆクランプを臨機応変に使ってプレス


ナラさんの文箱は続けて加工に入れるけど
スネークウッド様の靴べらは、、、
この形で、暫しのお昼寝タイムだな・・・

多少なら、のけ反っても寝返りうってもいいから
お願い！「割れないで」

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工房で雑作業・・・スコヤ修理＆いろいろ

今日は工房で、前から気になっていたことを実行

板材の木口を削る際、機械加工で精度よく出ている直角を
極力守るように、鉋かけの際「スコヤ」を使っているが
注文家具屋時代から使用しているスコヤの直角精度が
昨今、どうも信用できない。。。



ご存じの方も多いと察するが、、、
差し金なら、玄能で角の部分の外側を叩けば鋭角に
内側を叩けば鈍角に、と安易に調整できるが
スコヤの場合、そう簡単にはいかない



30年以上使って愛着もあるし、持ってるのに買うのも癪
ってなわけで、ベンチグラインダー・鑢・ペーパー・・・
金加工用具総動員で、30分ほどの修理で新品同様に＾＾



と、狭い工房とは言え、一応、機械加工場と手加工場に分離
但し、ちょっと昇降盤で木取をするとたちまちに
手加工用の作業台は木埃にまみれてしまう



完全分離は無理としても、今あるゴミ袋カーテンを延長しよう
長手の棒端材２本に、ゴミ袋を挟み込んでっと
天井から吊るせば、2/3はきちんと仕切れるんで
まぁ、今よりは多少木埃も少なくなるでしょう＾＾



と、アウトソーシングするほどではないビジネス部材を
久々に作らなくっちゃ、端材の集合体で悪いけど



ツルッと下地作って、やはり端材の塩ビフィルム貼ってしまえば
きち～んと食の糧に「大変身～！」



ビジネス部材とは言え、可愛い「お子」であることは同じ
関西への長旅に耐えられるようにきちんと梱包

あ～～～、細かなことが終わって・・・サッパリ

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材種紹介－８・・・黄色一族さん

ひょんなことから、いつも購入する材料屋さんから質問受け
「ペクイア」さんと「アマレロ」さんの違いについてなのだが、、、



我が工房に同居する「黄色一族」さんを列挙すると（敬称略）
　＞ペクイア（上記フォト）
　＞アマレロ
　＞島黄楊（御蔵島産本黄楊）
　＞シャム黄楊
　＞フランス黄楊
　＞トルコ黄楊（下記フォト）
　＞イエローハート
　＞ディフォー
　＞米ヒバ
辺りだろうか・・・



そこで、ご質問のあった２材さんを中心に５材を
左から導管が細く、目の細かい順に並べてみた



シャム黄楊さんは、幾分赤味がかっているものの風合いは最高
ペクイアさんは、「鮮黄色」と言う点ではぶっちぎり
左アマレロさんは、風合いは「ペクイア」さん同等だが
幾分色が濃い目なのと、ちょっと導管が太いかな



同じアマレロさんでも、右アマレロさんは
フォトで認知頂けるだろうか？導管は左よりかなり太く粗目
属は相違するが、ミカン科の「イエローハート」さんに至っては
導管だけを拝見するに、細かめの「ラワン」さんと言った感じ



我々「邦人」は言うまでもなく、黄色人種だし～
こうやって、黄色い皆さんにお並びいただくと「きれい♪」



それにしても、材料屋さんからご質問いただくとは・・・
はて、、、喜ぶべきなのだろうか？？？


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材種紹介－７・・・バッタ品の「手違い」さん

昨年末に「材種不明」品として、超廉価で購入し
材種確認のため、鉈で割裂だけしておいた材を
特注品用材の粗取りの際に一緒に製材した



色気・目筋・硬度・比重・・・から
手違い紫檀「チンチャン」氏と認識していたが・・・



手押しプレーナで１面を研削
初めて目にする、板目面を見てこと更に確信



角材の直角出して、割れ方向を予測して
無駄のない分（厚み）に、昇降盤の刃を目いっぱい出して割裂



１寸×半尺×２尺半ほどで２枚
８分×半尺×２尺半ほどで約２枚分



色も目筋も「チンチャン」さん目いっぱいで
殆ど瑕疵のない板材を、無駄なく木取り終了



以前にも、やはりローズ系「材種不明」材を製材した際
本ローズの流浪人「ソノケリン」さんのリスクもあったが
材は希望通り「インドローズ（本ローズ）」さんだった



但し、ご覧の通りの入り皮＆内部割れの荒れ材で
歩留りではおそらく５０％もいかない材だったことに比べると
今回の「チンチャン」さんは、“ラッキー”



こんなしっかりした好い材料なのに
ちと超高級材「本紫檀」さんに似ているというだけで
「手違い・・・」なんて呼ばれて気の毒だなぁ。。。
「ソノケ」なんて蔑視される、インドネシアンローズさんと一緒

おそらく通常に板材として購入すれば～～～
1/4位の価格かな？製材の手間代は？

「考えてませ～～～ん」


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差込製作再び－４・・・超堅物さんの削り

通常の鉋掛けが通用するお方たちは終了し
いよいよ本丸、言うことを聞かないお方たちの研削を開始

キルテッドソフトメープルさんは、柔らかいけどお転婆
通常に繊維方向に掛けられないことはないのだが
キラキラと輝く膨らんだように見える部分は硬質で
鉋を引く最中に、カクンカクンと引っかかり
どうしてもフラットには引けない


但し、キルテッドではない通常の部位は、全体に堅めだが
通常にひゅるっと気持ちよく引くことができる


木口はご覧のように、長台操ってコリコリっと研削
超堅木君の場合は、横目にも木口にも逆目はあるんで
自分は、どちらも２枚刃で研削


石のように堅いレースウッドさんは
同じ堅さ程のサティネさんよりは、ずっと素直で
順目（ならい目）さえきちっと読めればツルッとＯＫ


おっと、肌をよくするためだけに鉋掛けてるわけじゃないんだ
共に大事なのは平滑性、定盤上でピタッと落ち着くまで摺合せ


さてと、気合入れて、最も難儀なサティネさんと勝負
ご覧のように、昇降盤裁断時の目違いなんかもあるんで
腰を据えて、腕力・背筋力・胸筋力、総動員で格闘


最後は、スネークウッド王と真黒公爵のコラボ品
通常の框物なら、両者とも繊維方向に引くんだけど
板物で目合わせ上、両逆目でプレスしているんで横擦りで研削
力はいるけど、１枚だけだし結構素直なんでＧＯＯＤ


あ～～～、まる２日掛けて、やっと終わった＾＾
けど・・・身体、特に胸筋が痛い

完全に加齢と運動不足が要因。。。

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2008/2/27 「鉋・・・乱菊（その１）」
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差込製作再び－３・・・素直なお方の削り

特注品３材の粗木取りも終了
差込製作のマウスパッド作業に戻ってきた

プレス～裁断は終わっているんで
今日からは、二枚刃・一枚刃・長台を操り
得意ではないけど、嫌いじゃない？手鉋かけを開始


まずは今回製作の中、一番柔らかいマホガニさん
ご覧のような荒れ肌状態で、一機とはいかないんで・・・


２丁の八分鉋操り、裏刃を利かせた１丁で幾分厚めに
荒れ肌両逆目を取った後、上仕上で薄～く仕上げ研削


ご覧のように、ピシッと逆目は止まり、きらっと光沢


次は堅さからいくと、ウォールナット君だな
こちらは、木口まで含め全く問題なくさくっと研削


次は、と、自分の大好きなチーク＆インドローズさんのコラボ品
ローズさんのマメ科固有の細い両逆目には気を付けながらも
思った通りにツルピカで仕上り


注文家具屋の頃は、ナラやタモはともかくも
チークやローズには、結構苦労した覚えがあるんだけど
慣れとは恐ろしいもんで、癖のある言うこと聞かない
連中ばかりを扱っていると、ちょっとやそっとじゃビックリしない


これって、、、ひょっとして「スキルアップ？」
な～んて余計なこと考えないで
研ぎ場に蛍光灯も付けてもらったことだし
使った鉋をスパッと研いで・・・

床に戻ろう

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